歯科技工士として伝えたい
歯磨きの方法を紹介
歯ブラシの種類や磨き方を解説していきます。
目次/正しい歯磨きのやり方
- どうすれば歯を綺麗に磨けるの
- 食後30分後に歯を磨きましょう
- フロスは歯磨きと同時にやるべき
- 歯ブラシってどれくらい種類あるの
- どんな歯ブラシを使えばいいの
- 歯ブラシの硬さはどれがいいの
- ホワイトニングはやめとけ
- 歯磨き術などの紹介の最後に
自分は歯科技工士20年以上のキャリアを
築いてきましたけど、
口腔内の研究理解においては
まだまだ序の口程度と感じています。
技術面もそうなのですが、
知識ももっと吸収しないと実感しています。
歯に関わる歯科業界にいて自分の力不足を
感じているんですから、一般業界のあなたは
歯の見識はないと思っていても当然です。
「普通に歯を磨いてるだけ」というあなた。
これまで知らなかっただけですから、
今から推奨する磨き方を学べばいいんですよ。
どうすれば歯を綺麗に磨けるの
実は様々な歯の磨き方(ブラッシング法)が
存在します。代表的なものをお伝えします。
4つの歯のブラッシング方法
ブラッシング方法の「スクラッピング法、
バス法、フォーンズ法、ローリング法」の
4つを紹介します。
スクラッピング法
スクラッピング法は歯ブラシの毛先を
歯にあてがう方法。
歯の外側は歯ブラシの毛先を直角に
当てて前後に細かく小刻みに磨きます。
バス法
バス法は歯垢、歯石になりやすい
歯周ポケットの部分を磨く方法。
歯ブラシは歯面に対して
45°の角度で当てて
細かく振動させるように磨きます。
次に紹介するフォーンズ法と
併用して使うべきブラッシング法です。
フォーンズ法
フォーンズ法は歯に歯ブラシの毛先を
垂直に当てて、円を描くようにクルクルと
移動しながら磨く方法。
細かな動作が困難な方に向いています。
フォーンズ法では歯周ポケットの部分まで
行き届いていないので、バス法を
併用する必要があります。
ローリング法
ローリング法は歯ブラシの脇を歯と
並行になるようにあてて、歯ブラシを
回転させるような操作でもがく方法。
歯の先端に向かってクルッと回転させて
歯垢を除去します。
力をこめる磨き方でないため
マッサージ効果が高く、
歯肉の弱い人に適しています。
縦磨き横磨きではダメなの?
横磨きはだめ、縦磨きで、と聞いたことも
あるでしょうね。
しかし近年、横磨きがいいなんて話も
出てきています。
決定的な答えの出せていない、
まだ研究中の段階なんでしょう。
なので、縦磨き横磨き両方駆使して
一本ずつ時間をかけて磨くことです。
先ほどスクラッピング法といった
ブラッシング法を紹介しましたけど、
何が優れている方法かよりも、時間をかけて
丁寧に磨くことに集中しましょう。
名前を覚える労力よりも
磨くことに労力をかけるべきです。
歯ブラシは2本ないし3本指で掴むこと
歯ブラシの持ち方は親指と人差し指の
二本の指で挟むように持ちます。
もしくは中指を加えて三本指で
掴んでも構いません。
二本指または三本指で持つ目的は、
力を込めて磨くのを防ぐためです。
力を込めて磨くと歯茎を傷つけてしまい、
歯茎がやせ衰えたり、傷口から
歯垢細菌の侵入を許してしまうので、
力任せに磨いていはいけません。
歯と歯の間や、歯と歯茎の境目に歯垢が
溜まりやすいので、毛先をあてがい
軽い力で小刻みに動かすように磨きます。
最低でも5分以上は時間をかけて磨くように。
磨き忘れをする方もおられるようで、
自分の磨く順番を決めておいて
その通りに磨くことです。
動作のオートマティックになるまでは
意識してきれいに磨くようにしましょう。
食後30分後に歯を磨きましょう
食後すぐでも構いませんが、
私は食後30分後に磨いています。
食事中に分泌される唾液に関係あります。
・自浄作用を防ぐため
・エナメル質の保護のため
食後すぐ歯を磨くと、唾液によって
口の中を清潔にする働きが弱まる、
ひいては唾液分泌能力の衰えにつながる
という考えがあること。
もうひとつは、歯の表面のエナメル質が
唾液によって柔らかくなっていて
(時間が経つとまた固まる)、
再硬化する前に磨くと
ミクロレベルで歯を傷つける、という
考えがあるためです。
考えすぎと思うのですけど、
自分は食後すぐよりも30分後に磨くように
しています。
食後すぐ磨く場合は、
とにかく力をかけない意識で磨きます。
磨く時間がなければ、
水で口をすすぐようにしておきます。
ブラッシングが一番いいですけどね。
歯磨き30分後は飲食しません。
歯磨き粉の成分をできるだけ
歯につけておきたいためです。
歯磨き粉でフッ素配合の製品を使っていたら、
歯磨き後30分は飲食禁止です。
フッ素が歯に付く時間と思ってください。
フロスは歯磨きと同時にやるべき
フロス、と聞いて?の疑問符が頭に浮かぶ
方は、まだ多いはずです。
糸ようじ、の言葉でピンときたはず。
フロスで歯の間を磨くことはいいことです。
歯ブラシでは届かない部分を
磨けられますからね。
使う順番は、 フロス ≫ 歯ブラシ です。
どうしても時間のかかる作業になるので、
夜の歯磨きに併用するのがいいでしょう。
時間をかけたくない、もしくは
効率化を図りたいのでしたら、
電動歯ブラシも選択に加えてもいいでしょう。
歯の健康は、全身の健康です。
食べることは喜びと同時に体を作り、
ひいては健康維持につながります。
現状の歯を道具として末永く使って
おいしい料理を食べていくため、
虫歯にならないように歯を磨きましょう。
歯をキレイに保ちたいでしょうから、
歯ブラシなど道具の解説もしていきます。
歯ブラシってどれくらい種類あるの
歯ブラシを大きく分けると、
・毛質
・ブラシの毛先の形
になります。
・歯ブラシの毛質
天然毛と、ナイロンの人工毛の
大きく二つに分けられます。
天然毛は、とにかく磨き心地がいいんです。
歯茎のあたりが優しくって、
マッサージしているような気分。
程よい弾力というか、毛先も細やかで
人工毛では再現できない毛質なんです。
ただ、人工毛歯ブラシよりも高めなのと、
水を含みやすいので
細菌の繁殖がしやすいのが難点ですね。
使った後はよく洗って
乾燥させる必要があります。
そうでないと、
歯垢などの細菌を含んだ
歯ブラシで歯を磨くことになります。
一方、ナイロン製といった人工毛ですが、
天然毛にはない様々な毛先を実現しています。
天然毛よりも弾力の耐久性と
使い心地は落ちますが、
安価でもあり乾燥しやすいので、
使い勝手がいいですね。
同じく使った後は
よくすすいで乾燥させましょう。
できれば朝昼晩の時間帯の
歯ブラシを三本使い分けると、
すすいだ後乾燥させる時間ができるので
複数本の用意がいいですね。
・ブラシの毛先の形
コチラは
・フラット(平坦)
・山形(ギザギザ)
に大きく二分されるでしょう。
フラットは、歯の接触面積が大きいので
良く磨ける、とされています。
衛生士さんもフラット推奨してますし。
ですが私は山形を選びます。山形カットは
歯並びが奇麗でない人向けのブラシです。
歯と歯の間の磨き残しを防ぐために
毛先が入りやすい山形を選びます。
歯並びの整った方はフラットで、
歯並びに自信がない人は山形のブラシで
磨いてください。山形のブラシの磨き方は
ローリング法がおすすめですね。
フラットであっても山型であっても、
どちらも時間をかけて丁寧に歯磨き
することが前提ですから。
どんな歯ブラシを使えばいいの
絶対コレがマストアイテム!
なんてものはないです。
歯科の論文でも名前は出てきませんから。
「歯医者さんが推奨する」など
宣伝文のついた歯ブラシ一つをとっても、
企業側も商品開発に努められています。
企業の製品を信じて、
何を選んでもいいと判断しています。
自分が選ぶ手磨きの歯ブラシなら、
「ネック」のたわむものです。
磨く力が強い自覚があるためです。
ネックとは、歯ブラシの毛の部分ヘッドと
握る部分ハンドルの間の場所のこと。
ネックがたわむことで、
歯茎に余計な力が加わりにくくなるので
粘膜を傷つけにくくするからです。
毛先を細かく動かして時間をかけて
磨くことを意識してください。
ブラッシングは歯に付いている
歯垢をとるだけでなく、歯茎を
マッサージする効果がありますから。
マッサージも強すぎると逆効果になるのは
イメージしやすいでしょ?だからこそ
丁寧に優しくブラッシングしてください。
歯ブラシの硬さはどれがいいの
ふつう、やわらかめの二つから選びましょう。
硬めだと歯にこびりついた歯垢を
ごっそり取ってくれそうだからと
好む方もおられますけど、
それほど関係ありません。
歯科の論文では硬めが歯垢除去能力が
高いとしていますけど▼柔らかめでも
ちゃんと時間をかけてブラッシングすれば
歯垢はしっかり取り除けられます。
「電動歯ブラシと手用歯ブラシの
プラーク除去と歯肉の炎症への効果
鶴見大学歯学部名誉教授 新井高」より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio/47/1/47_1_1/_pdf
ただし歯石はブラッシングでは取れません。
歯科医に取ってもらいましょう。
まずは歯石の元となる歯垢除去に
あなたは意識して磨くことです。
自分なら硬めの歯ブラシは選びません。
理由は歯茎を傷つけやすいから。
「じゃあなんで固め売ってるの?」
と思いますよね。
事実、歯垢除去力は高いのですけど、
丁寧にブラッシングすれば大丈夫です。
硬いとよく磨けるというイメージ先行が
あるため、売れるから売っているのでしょう。
やわらかめの歯ブラシでも
力加減で歯茎は傷つけます。
なので力をこめずに、
時間をかけて、丁寧に磨く意識で
歯磨きしてくださいね。
電動歯ブラシなら、
振動数3万以上のものを選びます。
歯ブラシの時間短縮の実現と、
力加減の心配がないためなので、
手で磨くこだわりがなければ選ぶべきです。
手磨きと電動の磨き方の違いを比較した
1分弱の無音のイメージ動画貼っておきます。
振動数=歯垢除去力と思ってくださって
結構です。聞いたことのないメーカーの
電動歯ブラシであっても振動数3万以上は
欲しいので、そこは注目してください。
ホワイトニングはやめとけ
歯科技工士個人の見解です。
歯の黄ばみなどで悩んでいるなら、
ホワイトニングよりも、
喫煙しない、といった生活習慣を
まず先に変えるべきです。
なぜなら、「ホワイトニングできるんなら
また歯が汚れが目立ったらホワイトニング
しちゃえばいいし」となるからです。
病気になったら薬を飲めばいいじゃないの
なんて考え、 まずは病気にならない日々の
生活から気を使うべき、と言葉を変えると
真意が伝わるでしょうか。
ホワイトニングで極端に白くしてもらうのも
やめるべきです(歯医者さん、すいませんね、
審美歯科のストップをかけてしまって)。
歯を削ってやたらに歯を白くする施法の
ホワイトニングなら言語道断。
見た目きれいになるだけで、歯自体の
耐久性はもろくなってしまいます。
薬剤を塗布して白くするホワイトニングでも、
どうなんだろう…くらいの気分です。
自分はやろうと思いません。
薬品を使う時点で歯に負荷をかけています。
フッ素処理で歯を丈夫にするような薬品の
使用ならともかく、見た目重視の薬品で
歯が丈夫になりませんから。
歯を白くするか丈夫にするか、
目的が違いますけど、ホワイトニングを
するのはちょっと待っての立場です。
歯磨き粉程度のホワイトニングなら、
問題ないだろうとは思っています。
それなら食事30分後に即刻歯を磨くことを
お勧めします。食後すぐでもいいですけど、
あまり力強くこすらないでください。
理由は先程触れたように、
エナメル質の保護のためです。
それと【妊娠中及び授乳中の
ホワイトニング処理は駄目】
ホワイトニングの薬品が胎児(幼児)に悪く
影響する危険性があるので、避けましょう。
生きるてきているうちの黄ばみは仕方ないかと
諦めて。それよりも歯の寿命を長くして
美味しい食事を続けられるのが一番ですよ。
歯磨き術などの紹介の最後に
今までの磨き方で充分という方は、
虫歯や歯槽膿漏に悩まされたことのない、
幸せな生き方をされていたのでしょう。
そうでない方は、間違った歯磨きの仕方を
していた可能性が大きいです。
間違ったまま過ごせば、あとから
痛い目に合う確率は高くなるばかり。
予防(未病)の意識を強めて
元気はつらつな毎日を迎えられれば、
人生は喜びの瞬間ばかりですよ。
小さな変化から大病を防げるかもしれない
きっかけに、「電動歯ブラシ」の
定期継続(サブスク)をしてみましょう。